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TPPフォーラムin湯沢!
2月5日湯沢ロイヤルホテルで、TPPフォーラムが開催されました。

→①「決めるのは私たち」(衆議院議員/京野きみこ)へ

→②「アメリカの内実」(前農林水産大臣/山田正彦氏)へ

→③「TPPでどうなる!?農業と地域経済」へ
               (東京大学教授/鈴木宣弘氏)

→④「金持ちより心持ち~信州の地域医療現場から~」へ
               (佐久総合病院医師/色平哲郎氏)

①決めるのは私たち (衆議院議員/京野きみこ)
みなさまこんにちは。
たくさんの方にお越しいただいて、大変心強く思います。

今、民主党も、現政権も、いろいろな困難に直面しています。
しかし、TPPのことを通じて私が本当に考えるのは、誰がこの国の担い手なのかということです。
それは霞ヶ関でしょうか、東京でしょうか、大阪でしょうか。
たしかに、霞が関も、東京も、大阪も、この国の担い手であることは間違いありません。

しかし、さまざまなことを乗り越えて今日まで持続し、世界に冠たる安全・安心な国として、女性が独り歩きできる首都を持っている、 そのような国を作って来たのは、いったいだれなのでしょうか。
その日本を作るのに必要な人材を育て、必要なときに、必要なところに送り出してきたのは、どこなのでしょうか。

それこそ、私たちが住む農村社会、地域社会ではないでしょうか。
もうそろそろ、霞ヶ関や東京やニューヨークに、 私たち自身の社会がどうあるべきかを委ねる時代は終わりにしましょう。

私は、TPPの問題を通して、ただ反対/賛成ではなく、自分たちがどのような社会で生きていくのか、 そして、私たちの日本がどのような社会であることが、もっとも日本らしく、もっとも多くの人が幸福に暮らせるのかということを、みなさまに考えていただきたいと思います。

今日は、東京の日比谷公会堂でやってもいいほどの大変豪華なメンバーとなっています。
しかし、これからは、私たちの住んでいるこの地域が、世界の中心だし、日本の中心だし、未来の担い手になっていくんだという気概を込めて、 私自身の地元である湯沢市で開催させていただくことにしました。
これから、TPPについてお三方にお話しいただきますが、話を聞いていただいて、みなさまご自身でご判断頂きたいと思います。
みなさまが、自分の生活にしっかりと根ざして判断したことであれば、決して誤らないと私は確信しています。

マスコミや特定の企業・産業、評論家に、私たちの運命を委ねるのではなく、私たち自身で決めていこうではありませんか。




②アメリカの内実 (前農林水産大臣/山田正彦氏)

湯沢のみなさん、山田正彦です。

私ども「TPPを慎重に考える会」のメンバーは、今年の一月、アメリカに行ってきました。
TPPに関する情報収集が目的です。
私たちは当初、米国民はTPP(環太平洋連携協定)に賛成だろうと思っていました。
ところが、実際は違うのでした。

ウォールストリートジャーナルがFTA(自由貿易協定)について行った世論調査では、69%もの米国民が反対。
アメリカにとって利益になると応えたのは、 ほんの17%にすぎない。

我々はアメリカの労働組合と対談をもちましたが、彼らは雇用の喪失を懸念している。
かつてメキシコ、 カナダとのFTAが失業者を増やしました。
その繰り返しが起こるのではないか、と。

FTAで雇用が失われた背景を簡単に説明しますと、 こういうことです。
FTAが締結されたことによって、アメリカからメキシコへ、安いコーンが流入しました。
メキシコのトウモロコシ農家は壊滅的な打撃を受けた。
仕事を失った彼らは、職を求めてアメリカに向かう。
彼らの賃金は相対的に安いため、米国人から雇用を奪う格好になってしまったのです。

我々はTPPを、オバマ大統領が再選を目指す上での集票戦略だと考えていました。
雇用を増やすことで、支持率を上げようとしているのだと。
ところが、オバマ大統領の有力な支持基盤である労働組合は、今申し上げたように、TPPに懸念をもっている。
それにオバマ大統領自身、年頭教書演説ではTPPについて触れていない。
選挙に不利だと認識しているわけです。
だから、TPPがオバマ大統領の集票戦略であるという認識は、少し修正しなくてはならない。
オバマ大統領の狙いは、票ではなく、経済団体の支持。
つまり、選挙資金ではないか?

我々が今回の訪米で訪れた団体は、31にのぼります。
政府、コメ団体、バイオ団体、自動車団体、医薬品団体・・・
そして、TPP交渉を通じて、日本に何を求めるかを聞いて参りました。

自動車団体では、このような話を聞きました。
『エコカー減税、軽自動車の規格は不平等だ。環境技術の優劣を価格に影響させてはいけない』
『日本のディーラー制はおかしい。米国車を扱ってくれない』
『車検制度は、消費者に不当な支出を押しつけている。やめるべきだ』
米国の車が売れないのは、日本のせいだというのです。

TPPは、このように、アメリカの経済団体が主導して進めようとしている協定です。
日本でも、大半の国会議員が反対しています。
ベトナム、アメリカ、ニュージーランドなどの議会でも、TPPに反対している議員は大勢います。

今度、日本で、TPP反対の国際シンポジウムをやろうという話があります。
今日は、これだけ大勢の方にご来場いただいた。
このシンポジウムも、秋田でやれば良いかも知れません。

私たちは、TPP断固阻止を掲げて活動しています。
京野さんは、私たちの大事な仲間です。
あれは、APECを間近に控え、TPP交渉参加を巡る駆け引きが大詰めを迎えていた昨年の話です。
私たちは会議を開いていたのですが、重苦しい空気が漂っていました。
そして、いよいよ総理が、TPP交渉への参加を表明するのではないか、と緊張が走ったとき、 決然と京野さんが言ったのは、「山田先生、こうなったら私は、一人でも官邸前でハンガーストライキを決行したい。やらせてください!」と。
真剣なまなざしに、私は、瞬間、言葉を失いました。
心より驚き、感心しました。
京野さんは、心からの同士だ。
これからも、皆様のお力で、しっかりとお支えいただきたい。;




③TPPでどうなる!?農業と地域経済 (東京大学教授/鈴木宣弘氏)

鈴木宣弘氏(東京大学教授)
1958年、三重県生まれ。1982年東京大学農学部卒業。同年農林水産省入省。1998年九州大学農学部政経済学科助教授、2004年同大学院農学研究院教授。2006年から現職。 専門は農業経済学、国際貿易論。著書に「現代の食料・農業問題~誤解から打開へ~」「食の未来に向けて」など



みなさん、こんにちは。鈴木宣弘です。
山田先生、京野先生は、政治家の立場から、TPP反対の先頭に立つ覚悟を決めている。
私も研究者の立場から、同じ覚悟を決めています。
一丸となって、この問題を解決しなければならない。

2009年に政権交代がなり、私たちは大いに期待した。
実際、戸別所得補償制度をはじめ、その期待がかなえられた部分もあります。
けれども今、民主党執行部は、民主党が本来考えていたことと整合しないことをしようとしている。
TPPは、まさにそれです。

民主党への期待は、覆されてしまった。
TPPについては、国会でも地方でも、ほとんどの議会が反対しています。
国土の九割が反対しているような状況です。
その実情を無視して、東京では勝手にTPP交渉を進めようとしている。
これでは、民主主義の体をなしていない。

どうしてこんなことが起こりうるのか。
政府は、不都合な情報をたくさん隠しています。情報操作をしている。

たとえば、農業についての情報ばかりを出して、『農業改革が必要だ、そのためにはTPPが必要だ』という認識を広めようとしている。
TPPは農業だけの問題じゃありません。

ところが政府は、問題を意識的に矮小化している。
TPPについて出回っている情報は、明らかに不足している。
流れてくる情報は、農業vs製造業といった構図をかいて、既得権益まみれで閉鎖的な農業を改革しなければ、とあおり立てるものばかり。
都合の良い情報だけを流し、ほとんどは機密扱いにする。
きたないやり方だと思います。

昨年3月の原発事故が起こった翌日、私が教えていた中国人の学生は、帰国しました。
それを見て私たちは、ヒステリックな対応だと笑っていたわけです。
しかし実際は、笑われていたのは日本人だった。
日本人だけが、この国で起こっている問題の、本当の情報を知らなかった。
だから、冷静に振る舞っているように見えた。
なんとも滑稽で、悲しい事実ではありませんか。

今の農業を巡る議論と、原発を巡る議論は、同じ問題に根をはっています。
目先のコストが安いからと言って、 それに頼り切っていれば、いざというときにどうなるのか?
食料危機がおこれば、日本人は何を食べるのか?
本当に海外から食料が入ってくるのか?
少々値段が高くても、きっちり国内農業を守ることが、長期的にはコストが安くなる。
国民の安全も守られる。
それが食料安全保障というものです。

東日本大震災が起きたとき、いい機会だから、被災地の農地を集約して、全国のモデルケースにしようという話がでた。
仮に農地を集約できたとしても、千年に一度の大事件でようやく達成できたものが、どうして全国のモデルケースになり得るのか?
仮に集約できたとしても、オーストラリアやアメリカとは規模で勝負にならない。
実態を知っている人間には、当たり前すぎる話です。
けれども、強い農業をつくればTPPに参加しても大丈夫、と言う人達は、こういうことを真顔で言う。

よく聞くのは、農業を鎖国的と非難する声です。
でもこれは、見当違いの指摘です。
日本の農業は、すでに十分開国している。
農産物にかかる関税は、韓国やEUよりも低い。

スーパーで売っているものを見て下さい。
多くは海外産。
私たちの身体を作っているものは、 原産国表示でいえば、6割はアメリカで、4割は中国。
私たちの身体は、もはや日本産ではない。
だれがこんな身体にしたんだ!なんて、もちろん、これは冗談ですが。

さて、年次改革要望書というものがあります。
アメリカが日本政府に提示しているものです。
あれをしろ、これをしろ、 という要望がたくさん書かれています。

ここで示されている内容は、TPPで確実に要求される。
たとえば、遺伝子組み換え作物の表示義務。
また、輸入オレンジなどにかける防腐剤の安全基準緩和。

私たちの安全を決めるのは、私たちではなく、アメリカになる。
大袈裟に聞こえるでしょうか?

米韓FTAというものがあります。
アメリカは常々、TPPは米韓FTAの強化版だと言っている。
この米韓FTAを巡って、韓国では大きな反対運動が起こっています。
なぜか?まさに、今言ったことのためです。
韓国のルールを決めるのが、韓国ではなく、アメリカになってしまうからです。
私は、日本でも同様のことがおこるのではないかと危惧しています。

みなさん、もう一度、想像してみて下さい。
TPPに入れば、外国産の製品におされて、北海道からは田園風景が消えてしまう。
沖縄では砂糖きびが作れなくなり、離島から人がいなくなる。
無人島になったそれらは、防衛上の大きな問題となるでしょう。

一次産業は国の礎です。
国の形を守っている。
農業のGDPは1.5%にすぎない、と言った方がいます。
そのために、残りの98.5%を犠牲にするのか、と。
しかし、その1.5%が国を守っている。

農林水産業が展開されていることによって、いろいろな産業が成り立ち、商店街が成り立ち、自然も守られ、コミュニティが成り立っている。
それが、この社会の現実です。
中には、TPPに参加しても、戸別所得保障制度があるから大丈夫だ、と主張する人もいます。

TPPに入れば、農業の損失額は4兆円。
それを補填するためのお金はどこにあるのですか?
強い農業にするための支援などできるはずがない。
それとも、日本の米は品質がいいから、安い米が入ってきても大丈夫でしょうか?
確かに品質はいいと思います。
でも、味の嗜好は千差万別で、山形県でコシヒカリとカリフォルニア米を試食させたところ、半分の人が、カリフォルニア米がいい、と答えたとか。

それに、需要のあるところにはビジネスチャンスがあるわけで、日本にコメの輸出ができるとなれば、日本市場を意識したコメが、各国で作られるでしょう。

TPPに入らないのなら、どうやってこの国は成長していけばいいのか。
私は、自由経済、経済連携は不可避だと思います。

しかし、それがTPPに直結している今の議論はおかしい。
我々はTPPが駄目なのであって、より有効な自由経済、経済連携の方法を選ぼうと言っています。
自由経済を否定しているわけではありません。

では、なぜTPPが駄目なのか。
先ほどもいった、自国のルールを他国に決めさせるような協定に問題があることは、言うまでもありません。
それに加え、何でもかんでも自由にしてしまえ、というTPPのような協定は、経済的メリットが薄いというのが理由です。

実は自由貿易協定は、例外を作った方が良い。
試算の結果が、それを証明しています。
だから、すべての関税を撤廃すればいい、というのは違うのです。

既得権益の強い分野では、それを緩和した方が良い場合もあるでしょう。
だが、すべてに渡ってゼロにすることは、決して最良の策ではない。
何のための経済連携でしょうか。
自国の利益を最大化することを目的にするのなら、TPPは、とるべき道ではない。

TPPは、日本の形を壊します。
また、経済連携としても最良の選択ではない。
私たちは、これを阻止しなければなりません。




④金持ちより心持ち~信州の地域医療の現場から~
(佐久総合病院医師/色平哲郎氏)

色平哲郎氏(佐久病院医師)
1960年、神奈川県生まれ。東京大学を中退し世界を放浪後、京都大学医学部に入学し、1990年卒業。内科医。1998年から2008年まで南相木村国保直営診療所長。08年から現職。 著書に「源流の発想-21世紀ムラ医療の現場から」「命に値段がつく日-所得格差医療」など



どうもこんにちは。佐久哲朗と申します。
善徳寺の僧侶です。
というのは冗談で、私は、長野県にある佐久総合病院につとめている医者です。
そしてこの二つの仕事は、大変似ています。
だって、人間の死亡率は100%ですから。

私は一年ほど前、とある業界紙にこんな発言をしました。
『アメリカがジャイアンなら、日本はスネ夫。だからアメリカのいうことには逆らえない』
当時は冗談のつもりでしたが、なんだか、これが現実の姿かもしれない。

TPP交渉というのは、交渉がまとまってから4年間、まとまらなくても4年間、交渉の内実を外に出してはいけないという秘密条項があるそうです。
だから、どのような議論がされているかは分からない。
よく分からないけど、なんだか不安だ。
不安だから考えるわけです。

私は内科医ですから、内科医の頭で考えてみる。
ここに患者がいるとしましょう。
日本経済、日本社会という患者です。
どう考えても、私の手には負えない。
患者は患者で、内科医じゃなく、外科医の先生に診てもらいたいと言う。
私としては、紹介するのであれば信頼のおける先生を紹介したい。
試しに患者に希望を聞くと、ドジョウ医療なるものを試したいという。
ドジョウ医療とは何か?私なりに色々調べてみたところ、24種類もの薬をいっしょくたに飲ませる、という治療らしい。
信じられない。
24種類も薬を一気に飲んだら、良くなるものも良くならない。
そう思いませんか?でも、そういう処方をしようというのが、TPPです。

TPPの交渉分野は24にも渡る。
なにからなにまで、です。

体力がなくなり、弱っている患者さんに、一度にこんなに大量の薬を飲ませる。
しかも、その薬の中身が一切分からないというのだから、とてもじゃないが、信用できない。

さて、今、私たちの手に入る情報の範囲で、TPPが医療に与える影響を考えてみましょう。
まず、薬価が上がります。
特効薬、なんてものは、ものすごい値段になる。
それが医者にとっていいことかというと、私個人の考えでは、その分、病院の運営費などが削られる。
地方の病院は、経営が厳しい。
厳しいけれど、どんなところにも患者さんはいるから、必死に頑張っている。
頑張っているけど、やっぱり、厳しい。

でも、たとえば都会で富裕層を相手にしている病院は、儲かるかもしれません。
お金に糸目をつけない患者に、どんどん薬を処方する。
売れば売るほど儲かる。
儲けたいから、高い薬を処方する。
つまり、医療がビジネスになる。
ビジネスですから、患者の奪い合いもあります。
どんな患者さんだって、腕のいい医者に診てもらいたい。
だから、実力のある医者は引っ張りだこだ。
自分を優秀だと思っている医者は、TPP賛成。

私?私は、少し変わっているんですね。
国民皆保険は議論の俎上に上がっていない、という報道があります。
けれどもTPPは、議論されていないものは全部やる、という仕組み。
あとからどうとでもなる。
嘘みたいなホントの話。

日本の人達は、国民皆保険のありがたさを、忘れてきているのかも知れない。
施行から五十年もたったから。
それとも、なくなるはずがない、と信じ込んでいるのでしょうか。

昔は、無医村の農村なんてざらでした。
その時代、医者は泥棒といわれていました。
病気にかかってもなかなか見てもらえないし、いざ診療となれば、金をわんさかふんだくる。

でも、国民皆保険が導入されることによって、医者への見方も変わってきた。
誰もが平等に治療をうけられることになった。
泥棒呼ばわりもされなくなってきた。
医者にとってもありがたい。

韓国などは、国民皆保険の導入がほんの二十年前だから、この制度のありがたさがよく分かっている。
だから、TPPのミニチュア版とも言える、米韓TFAへの抗議運動も激しい。

はじめに申し上げたとおり、人間の死亡率は100%です。
けれども私たち医者は、その命を少しでも伸ばしてもらうために、働いています。
命に値段がつくような時代は、望んでいません。



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